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HACCP(ハサップ)ってなに?

HACCP(ハサップ)

飲食業界に務めている方なら一年前(2020年初め頃)まではよく耳にしたワードではないでしょうか?

このページではHACCPの歴史や特徴、目的を紹介していきます。

今回は少し専門的な内容や、飲食店の現場においては必須でない内容も含まれます。

とにかく自店での対応方法や手順、費用などが知りたい!と言う方もいらっしゃるかもしれません

そんな方は

このページでは、気になる目次の項目のみ見ていただき

次回、飲食店の現場において今から始める取り組みステップを紹介していきますので

しばらくお待ちください。

HACCPとは

Hazard Analysis and Critical Control Point の略です。

Hazard | 危害要因

Analysis| 分析

Critical | 重要

Control | 管理

Point |点

  1. 危害要因分析に基づいて
  2. 健康に影響をもたらす原因となる可能性のある食品中の物質、または食品の状態の発生を
  3. 防止または排除、もしくは許容できるレベルにまで低減するための工程(重要管理点)を決め
  4. その工程を重点的に管理する

という、一連の過程を体系付けた仕組みのことです。

つまり

HACCP(ハサップ)とは食品の安全性の向上を目的とした健康危害の発生を予防するシステムのことを言います。

HACCPシステムの歴史

●HACCPシステムの起源

   1960年代に開始された米国の宇宙開発計画(アポロ計画)

   宇宙食の微生物学的安全性確保のために開発

●現在

   Codex委員会による食品安全管理の国際基準

1960年代に米国で開始された宇宙開発計画(アポロ計画)の一環として、宇宙食の微生物学的安全性確保を目的に開発されました。

1971年「第1回米国食品防護委員会」で初めて公表されました。

極めて高い安全性を保証しなければならない宇宙食を製造するのにどうするか、最終製品の検査に頼っている従来のようなやり方では膨大な数の検体が必要で時間もかかります。

工程ごとに管理し、記録を重視する、きわめて合理的な衛生管理方法としてHACCPシステムの概念が示されました。

1973年、FDA(食品医薬品局)により、低酸性缶詰食品のGMP(適正製造規範)の中にHACCPシステムの考え方が取り入れられました(その他の分野では、広く普及するには至りませんでした)。

その後、1985年に米国科学アカデミーの食品防護委員会が

  • 食品生産者に対してHACCPシステムによる自主衛生・食品管理方式を積極導入
  • 行政当局に対して、法的強制力のあるHACCPシステムの採用

を勧告したことから再び注目されるようになりました。

Codex 委員会とは

Codex Alimentarius Commission (CAC) | 国際食品規格委員会

  • 消費者の健康の保護、食品の公正な貿易の確保が目的
  • 国際的な政府間機関 事務局:FAO本部(ローマ)
  • 国連食糧農業機関(FAO)、世界保健機関(WHO)により1963年に設立
  • 加盟:187ヵ国(日本1966年参加)、1加盟機関(EU)2017年8月現在
  • 国際食品規格(Codex規格)、関連文書(実施規範code of practice)の作成
  • コーデックス委員会の下に、29部会(休会中の部会も含む)設置

現在180カ国以上がコーデックス委員会に加盟していますが、そのおよそ3分の2は発展途上国です。国際基準を作るためには、できるだけ多くの国が会議に参加することが望ましいことから、FAOとWHOはコーデックス信託基金を設立し途上国からの参加に伴う負担を減らし、積極的にコーデックス基準のプロセスに参画できるよう支援しています。

Codex委員会「食品衛生の一般原則」(General Principle)

  1. 目的
  2. 範囲、使用および定義
  3. 一次生産(原材料の生産)
  4. 施設の設計および設備
  5. 食品の取り扱い管理
  6. 施設の保守およびサニテーション
  7. 食品の搬送
  8. 施設のヒトの衛生
  9. 製品の情報および消費者の意識
  10. 教育・訓練

上記はHACCP適用の前提条件プログラムの一部であり、Codex委員会が推奨する食品ごとの実施基準(Code of Practice)です。

さらに詳しくCodex委員会について知りたい方は厚生労働省ホームページをご覧ください。

厚生労働省ホーム>政策について>分野別の政策一覧>健康・医療>食品>コーデックス委員会

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/codex/index.html

日本におけるHACCPシステムの普及

日本においては1998年より国としてHACCPシステムの導入支援が開始されました。

それ以前においても

  • 1975年:日本におけるHACCPシステムの最初の紹介
  • 1994年:日本におけるHACCPシステムの社会的認知
  •     厚生大臣の私的検討会「食と健康を考える懇談会」報告書
  • 1995年:食品衛生法の改正 総合衛生管理製造過程承認制度の導入
  • 1998年:国としてHACCPシステム導入支援
  •     食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時処置法(HACCP手法支援法)

まだ新しい言葉のように思う方も多いかもしれません。

しかし1975年、今から46年前に初めて日本でそのシステムは紹介され、1990年代前半にはその考え方を織り込んだ施策が次々と打ち出されました。

しかし、あまり注目されませんでした。

その後、1994年当時の厚生大臣の私的検討会である「食と健康を考える懇談会」n報告書のなかで、食品の衛生管理に本システムを取り入れる必要性が勧告されました。

この勧告を受けて、翌年に改正された食品衛生法の中で、「総合衛生管理製造過程」(通称、マル総)という概念で、HACCPシステムが製造加工基準の定められている一部の食品を対象にした承認制度としてスタートし、社会的な認知が図られるようになりました。現在、乳・乳製品、食肉製造、容器包装詰加圧加熱殺菌食品、魚肉ねり製品、清涼飲料水を対象に施工されています。

この制度は、食品製造加工業者が総合衛生管理製造過程に基づいて製造加工した食品である旨を厚生労働省に申請して、安全性が確保されていることが認められれば、従来の製造加工基準が免除されるというものです。

従来の法的に定められた基準で製造するか、HACCPシステムで製造するか選択することが選択できることになったのです。基本条件はCodex委員会のガイドラインの内容が満たされていることです。

日本におけるHACCPシステム導入現場の課題

●HACCPシステムは「難しい、費用がかかる」という思い込み

●HACCPシステムと一般的衛生管理プログラム「それぞれの目的と役割の理解不足」

●「危害要因分析と検証が重要である」ということに対する認識不足

●食品部生物の知識を持ち、それを現場で活用できる「人材不足」

●HACCP導入は「食品企業の当然の責務」であるとの認識不足

HACCPシステムの特徴

  • 食品の安全性を向上させる
  • 予防を目的とする
  • 科学的根拠に基づく
  • 原材料から最終製品までの工程管理
  • マニュアル化:7原則12手順
  • 記録化(文書化)

よく勘違いされることがありますが、HACCPシステムは事後対応のものではありません。

食品安全性の向上を目的とし、食中毒などの健康危害の発生を予防するシステムです。

HACCPシステムの主な目的

HACCPシステムは、食中毒予防の原則と密接な関係があります。

「付けない」「増やさない」「無くす」「持ち込まない」

HACCPシステムの目的は「無くす」こと

=「食品中の存在にする可能性のある食中毒菌などの危害要因を、健康を損なわないレベルに低減、または排除する」ことです。

もし、「付けない」「増やさない」あるいは「持ち込ませない」という原則が、あらかじめ満たされていれば「無くす」という原則は必要ないですが、現実としては不可能です。

そのため、HACCPシステムが開発されましたが、HACCPシステムによる「無くす」ための労力をできるだけ少なく、かつ効果的に行うために、他の原則が前提になるというのが衛生管理の考え方の基本です。

一般的衛生管理プログラム

HACCPシステムとその導入の前提となる一般的衛生管理プログラムの関係

「一般的衛生管理プログラム」=HACCPシステム導入の前提

  • 危害要因が出来るだけ存在しない原材料を使用すること
  • 危害要因の汚染防止や増加防止を確実に行うための清潔で衛生的な食品取扱環境を確保すること

衛生的に優れた食品を生産するための3条件

  1. 安全で衛生的で品質の良好な原材料の使用
  2. 食品取扱者を含む清潔で衛生的な作業環境の確保
  3. 取扱いにより食品中の危害要因の発生の防止

消費者に安全な食品を提供するには

飲食店においては仕入れた原材料を調理し消費者に提供する工程を担うわけですが、実際に安全な食品を提供するためには

原材料を生産する農場から消費者の食卓に至るまで一貫した衛生管理が必要です。

この考えはフードチェーン(原材料から摂食までの食品の一連の流れ)という言葉で表現されています。

フードチェーンいずれの段階も以下の組み合わせで衛生管理を効果的に行える、と言う考え方です。

  • 上段:HACCPシステム
  • 中段:一般的衛生管理プログラムに相当
  • 下部:原材料
上段HACCPHACCPHACCPHACCP⇠汚染排除対策
中段GAP
適正農業規範
GMP
適正製造規範
GMP
適正製造規範
GHP
適正衛生規範
⇠汚染防止対策
下段飼料と畜原材料製品
飼育農場と畜場製品工場流通・消費

一般衛生管理プログラムはそれぞれ違いますが、いずれも同じ概念です。

  • 農場段階 GAP (適正農業規範)
  • 製造加工段階 GMP (適正製造規範)
  • それ以外 GHP (適正衛生規範)

「HACCPをやっている」とは?

「うちの店舗はHACCPをやっている」

「○○さんのお店はHACCPをやっていますか?」

と言われたり聞かれた場合、そもそも「HACCPをやっている」とはどういうこと?

簡単に言うと

科学的な食品衛生の管理手法をやっていること

= データで示すこと

と覚えてください。

HACCPに対する誤解

最後に

よくされる誤解3つについて

●HACCPは 全国共通の 資格や免許ではありません

●HACCPは 全国共通の 認証制度ではありません

●HACCPは 全国共通の マークはありません

今回、このページでは飲食店の現場において必要なHACCPシステムの説明とは異なり概要の紹介ページとなっています。

次回は、飲食店の現場において今から始める取り組みステップを紹介していきます。

HACCPシステムについてもっと詳しく知りたい、自店での取り組みサポートをご希望のお客は

お問い合わせページよりお気軽にご相談ください。

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