今回のテーマは前回の飲食店のアレルギー対応について【前編】【のつづき
前回①では食物アレルギーの基本的知識のおさらいも含めた飲食店で行える手順についてでした。
今回は実際に食物アレルギーをお持ちのお客様に対してどこまで情報を提示し、対応するべきか?について書いていきます。
中には、お客様の要望に何でも対応したい!と言う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、知識不足の中で確認不十分のままに「対応できます」と答えてしまうことは大変危険です。
実際に現場であった事例として
※ランチタイム大人4名とお子様(幼児)1名のご家族
サービススタッフAさん:「Cシェフ、幼児のお子様で卵と鶏肉アレルギーの方がいるそうで、それらを使用しないお子様ランチのオーダーが入りました。」
※本来なら対応できるか先に確認するべきですね。
※大人の料理と一緒にオーダーを言われた為、シェフは対応を受け入れました。
Cシェフさん:「卵と鶏肉だけ?乳製品とかは大丈夫?」
サービススタッフAさん:「卵と鶏肉とおっしゃっていました」
Cシェフさん:「了解。じゃあ通常のオムライスのチキンライスをベーコンのケチャップライスに変更するよ」
※このお店では通常お子様ランチでは
1) チキンライスのオムライス
2) デミグラスソース
3) プチハンバーグ
4) 鶏の唐揚げ
5) ナポリタンスパゲッテー
6) エビフライ
7) コーンスープ
上記のメニュー構成でした。
ここで問題です
Q:上記の7品のメニューの中で卵・鶏肉を含まないメニューはどれでしょうか?
A:答えは ありません。 すべてのメニューに卵又は鶏肉を含みます。
この店舗にはまだアレルギー対応のマニュアルがなく、メニュー表にも記載はしていませんでした。
しかし、写真付きメニューを用意しており「アレルギーをお持ちのお客様はスタッフまで」と記載していました。
都度対応するスタイルで運営を行っていたのです。
今回のお客様は写真を見てアレルギー対応の依頼とオーダーを行いました。
今までも卵や乳製品のアレルギーに対応したことのあったので対応可能とサービススタッフAさんも考えていました。
Cシェフも2品目くらいは大丈夫だろう。と判断しました
しかし実際調理を始めて
Cシェフさんは気づきます・・・
1) チキンライスのオムライス
・・・ベーコンのケチャップライスに変更しようとしたがお店で使用のベーコンは卵が含まれている
2) デミグラスソース
・・・店舗で使用してしるデミグラスソースは鶏肉も使った出しを使用している
3) プチハンバーグ
・・・ハンバーグのつなぎに卵を使用している
4) 鶏の唐揚げ
・・・鶏肉そのものがNGだ、それに衣に卵を使用している
5) ナポリタンスパゲッテー
・・・お子様用に使用しているスパゲッテーには卵が含まれていた
6) エビフライ
・・・衣に卵を使用している、タルタルソースもつけられないな
7) コーンスープ
・・・出しにチキンコンソメを使用しているからダメだ
結果、すべてのメニューパーツを卵・鶏肉を除いたメニューにすることにとても時間を要してしまい
本来であればお子様料理は大人の料理よりも先に提供するのが店舗のルールでしたがやむを得ず大人の料理を先に提供し、だいぶ経ってからお子様のお料理を提供することになったそうです。
しかも、お食事後にお客様より聞いた内容として
お子様の卵・小麦アレルギーはそれぞれ個体のみがNGでエキス(だし)やつなぎに使う程度は大丈夫だったのです。
つまりメニュー内で本当に変更が必要であったメニューは1⃣と4⃣の2品だけでした。
このように、お客様とスタッフの間でヒアリング不足による認識不足はとても良く起こる事例です。
最近はアレルギーをお持ちのお客様が自ら詳細をしっかり伝えて下さる事が多くなってきたようにも思います。
それでも確認不十分や急ぎ対応をしてしまうことで事故に繋がる可能性は高いです。
全くアレルギーを持っていない方にとってはあまり意識することなく行う食事でも
アレルギーをお持ちの方にとって内容が分からなかったり、対応してもらえるかなど不安要素は高くなります。
結論、
「対応策は事前に準備、明確に!」です。
しかし、100%完璧な対応は必要ありません。
もちろん、何でもすべて対応する必要もありません。
大切なことは、「出来ること」「出来ないこと」は明確にしておくことです。
まずは「出来ないこと」から
・うちの店舗ではフライヤー調理などエキスまでの対応は難しいので説明して油などもNGの場合はお断りしよう(コンタミネーション含む)
・小麦などで調味料までNGの場合はお断りしよう
次に「出来ること」の範囲
・アレルギー対応は特定原材料の7品目(エビ・カニ・小麦・そば・卵・乳・落花生)のみにしよう
・特定原材料7品目に該当するメニューは事前にしっかりとスタッフ間で対応ルールを決めよう
ルール決めを考えていくと大変細かくなり、スタッフも覚えきれなくなります。
そこで有効的なのが特定原材料7品目を使用しないメニューを持つ事です。
このメニューはメニュー表に載せる必要はありません。
特別な食材を在庫する必要もありません。通常メニューの応用で提供できるメニューを作っておくのです。
1種類あるだけで対応の幅はひろがります。
調理スタッフだけでなくサービススタッフも周知していれば事前に提案が可能です。
また前回の飲食店のアレルギー対応のについて①でもご紹介した
東京都福祉保健局ホームページよりアレルギーコミュニケーションシートの
飲食店向け食物アレルギー対策に関するリーフレット
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/allergy/leaflet.html
東京都福祉保健局 食品衛生の窓
↑のシートを参考に店舗オリジナルの対応マニュアルを作成することも有効的です。
今回は東京都の福祉保健局ホームページより引用しましたが、東京都以外の地域で店舗を運営されている方にとっても有効的な資料です。
また運営拠点のお近くの保健所ホームページなどでも地域に適した情報が配信されています。
まずは行政の情報を活用していただき、さらにサポートをご希望の方はぜひ一度Glamd Soleilにご相談ください。
オーナー様や、経営に携わる方のみならず、サービス、調理業務に従事されている個人様からのご相談、ご依頼も受け付けております。
Gland Soleilではよりクライアント様それぞれの状況に応じたサポートを提案させていただきます。
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